一学期の終わりにもらった通知表。
「よくできているね」
「ここはもう少し頑張ろうね」
と確認して、そのままにしてしまっていませんか?
もちろん、通知表は学校での学習や生活を振り返る大切な材料です。
でも、この数か月で子どもが頑張ったことは、通知表に書かれていることだけではありません。
たとえば、
- 休まず学校に行けた
- 新しい友達ができた
- 毎日自分から挨拶ができた
- 宿題を自分から始めることが増えた
- 宿題を忘れなかった
- 忘れ物が減った
- 朝、自分で起きられるようになった
こうした日々の小さな変化も、一学期を通して子どもが積み重ねてきた大切な成長です。
新学期が始まる前に、通知表をもう一度見ながら親子で少しだけ一学期を振り返ってみませんか?
今回使う質問は3つだけです。
① 一学期、自分で「がんばったな」と思うことは?
② それ、どうやってできるようになったの?
③ そのやり方、二学期にも使えそう?
立派な目標を立てたり、反省会をしたりする必要はありません。
子ども自身が「こんなこと頑張ったな」「前よりできるようになったな」と思えることを、一緒に見つけてみましょう。
質問①「一学期、自分で『がんばったな』と思うことは?」
まずは、子ども自身に聞いてみましょう。
「一学期、自分で『がんばったな』と思うことは?」
「九九を覚えた」
「漢字を書けるようになった」
「逆上がりができた」
といった達成も、もちろんすてきな「できた」です。
でもこの振り返りでは、通知表に書かれていない変化にも着目してみましょう!
「朝の準備が少し早くなった」
「自分から友達に話しかけるようになった」
「忘れ物をする日が減った」
「宿題を言われる前に始める日が増えた」
といった、通知表には書かれにくい変化はありませんか?
大人から見ると小さなことでも、子どもにとっては、何週間、何か月もかけて少しずつできるようになったことかもしれません。
もし「わかんない」「別にない」と返ってきたら、親から思い出すヒントを出してみましょう。
「そういえば、一学期の最初は朝起きるの大変だったよね」
「最近、自分でランドセルを準備してるのよく見るな」
「○○ちゃんとはいつから仲良くなったんだっけ?」
写真や学校行事を思い出しながら話してみるのもよいですね。
また、
「一学期の最初と比べて、何か変わったことはある?」
と聞いてみると、「できたこと」だけでは思い出せなかった変化が見つかることもあります。
大切なのは、「これを頑張ったことにしよう」と親が決めることではなく、子ども自身が自分の一学期を思い出す手助けをすることです。
質問②「それ、どうやってできるようになったの?」
「できたこと」が見つかったら、ぜひもう一歩聞いてみてください。
たとえば、「九九の7の段を覚えた!」と教えてくれたら、
「すごいね!」で終わらず、「どうやって覚えたの?」と聞いてみます。
すると、
「お風呂で毎日言った」
「何回も書いた」
「友達と問題を出し合った」
「最初はできなかったけど、毎日ちょっとずつやった」
など、その子なりの方法が見えてくるかもしれません。
「忘れ物が減った」なら、
「前の日にランドセルに入れるようにした」
「朝自分で起きられるようになった」なら、
「目覚ましを2つ置いた」
「新しい友達ができた」なら、
「自分から『一緒に遊ぼう』って言ってみた」
ということもあるでしょう。
ここで見つけたいのは、「できた」という結果の前にあった、子ども自身の工夫や試行錯誤です。
うまくいかないことがあった。
どうしたらいいか考えた。
何かをやってみた。
少しうまくいった。
必要なら、またやり方を変えた。
本人は「問題解決をした」というつもりはなくても、その過程には、日常の小さな問題を自分なりによりよくしてきた経験が隠れていることがあります。
親からも「こんなところ、頑張っていたと思うよ」
子どもの話を聞いたあとで、親から見えていたことも伝えてみましょう。
たとえば、
「ママは、毎朝ちゃんと学校に行ったのも頑張ったと思うよ」
「最初は宿題を始めるまで時間がかかってたけど、自分から始める日が増えたよね」
「毎朝先生に挨拶してたの、見てたよ」
など、具体的な行動を伝えます。
「努力家だね」「しっかりした子だね」と性格を評価するより、
「こういうことをしていたね」「前よりこう変わったね」
と、実際に見ていたことを伝えるほうが、「自分は何を頑張ったのか」を子ども自身も振り返りやすくなります。
通知表には書かれていなくても、家で毎日見ているからこそ気づける成長があります。
ぜひ一つだけでも、言葉にして伝えてみてください。
質問③「そのやり方、二学期にも使えそう?」
最後に、こんな質問をしてみます。
「そのやり方、二学期にも使えそう?」
一学期にうまくいった経験を、「よかったね」で終わらせず、次にも使える方法として考えてみます。
たとえば、「毎日5個ずつ漢字を練習したら覚えられた」なら、
「二学期の漢字も、少しずつやってみる?」
「前の日にランドセルを準備したら忘れ物が減った」なら、
「その方法、二学期も使えそうだね」
「自分から話しかけたら友達ができた」なら、
「また話してみたい子がいたら、同じやり方が使えるかな?」
とつなげることができます。
「二学期は算数を頑張る!」「忘れ物をしない!」
という大きな目標を立てなくても構いません。
一学期に自分で見つけたうまくいく方法を、「じゃあ、またやってみよう」と思えれば十分です。
「がんばった」「できた」の中には、小さなデザインが隠れている
First Design Studioでは、「デザイン」を、絵を上手に描いたり、かっこいいものを作ったりすることだけとは考えていません。
人や状況をよく見て、「ここをこうしたら、もっとよくなるかも」
と気づき、方法を考え、実際に試し、必要なら変えてみる。
そんな一連の行動も、デザインだと考えています。
たとえば、
「忘れ物が多い」から、「朝忘れ物チェックの合言葉を作ろう」
「九九がなかなか覚えられない」から、「オリジナルの語呂合わせを考えよう」
「友達と話してみたい」から、「友達を観察して自分との共通点を見つけてみよう」
こうした行動も、小さな問題解決です。
もちろん、一つの出来事だけで「問題解決力が身についた」と判断することはできません。
でも、一学期を振り返って、
「こんなことができた」
「そのために、こんなことをやってみた」
と本人が気づくことができれば、普段は意識していなかった自分なりの工夫を見つけるきっかけになります。
FDSでは、そんな日常の中の小さな問題解決をしてきた子どもたちは、「ミニデザイナー」だと思っています。
特別なデザインの授業を受けていなくても、
困ったことに気づいた。
やってみたいことがあった。
自分なりの方法を考えた。
試してみた。
少し変わった。
その経験の中には、すでに問題解決のデザインの種があります。
3つ全部聞けなくても大丈夫です
振り返りというと、親子で机に向かってじっくり話す時間を作らなければならないように感じるかもしれません。でも、特別な準備はいりません。
夕食を食べながらでも、通知表を片づける前の5分でも構いません。
子どもによっては、
「わかんない」
「忘れた」
「別にない」
で終わることもあります。
そんなときに質問を重ねて、面談のようにする必要もありません。
低学年の子どもなら、「一学期全体」を抽象的に振り返るより、運動会や遠足、宿題、友達との出来事など、具体的な場面から思い出したほうが話しやすいこともあります。
一つ思い出せたら、それで十分。
大切なのは、立派な答えを出すことではなく、親子で「あんなこともあったね」と一学期を見直す時間を持つことです。
一学期を「何ができたか」だけではなく、「どうやってできるようになったのか」まで振り返る。
そこから見つかった自分なりのやり方を一つ持って、二学期へ。
もしかしたらその子はもう、毎日の生活の中で、小さな問題解決のデザインをたくさん始めているのかもしれません。
